福岡市南区平和のすみい婦人科クリニック

更年期障害とホルモン補充療法

1更年期

  女性の身体は卵巣から分泌される女性ホルモンにより大きな影響を受けています。
女性ホルモンには、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、
互いにバランスをとりながら働いています。女性ホルモンは子宮や乳房を発達させ、
月経や排卵を促す作用があります。20-30才代に活発に働いていた卵巣は50才前後で急激に
その機能を停止してしまいます。これに伴い、それまで順調に訪れていた月経が不規則になり、
やがて閉経を迎えます。この閉経前後の一連の移り変わりの時期を『更年期』といいます。
閉経を迎える時期には個人差があり、一般には閉経をはさんでの前後10年くらいの間をいいます。

2更年期障害の症状

  更年期には卵巣のはたらきが急激に低下すること、またこの時期の女性を取り巻く環境による
心因的ストレスによって心身に様々な症状が現れます。
最も多いのはホットフラッシュと呼ばれる顔のほてりやのぼせです。
1日に数回、カッと顔がほてる、汗がどっと出る、息切れやめまい、冷や汗、寝汗なども
更年期の女性達の多くが経験しています。また、不安、イライラ、不眠、憂鬱など心理的、
社会的なストレスや個人の性格や気質が絡み合って心理面や精神面の
不調となって現れることもあります。
また、閉経以降には『高脂血症ー動脈硬化』や『骨粗鬆症』といった成人病が
増えることが知られていますが、その原因としてもエストロゲンの慢性的な減少が関わっています。

3更年期障害の治療法

  更年期の症状には個人差があるようにその治療法も症状によって異なりますが、
不足している女性ホルモンを補うホルモン補充療法(HRT)がよく行われています。
アメリカでは30年位前から行われていましたが、当時はエストロゲンのみを投与していいたため、
子宮体癌が発生しやすいという報告がありました。しかしその後の研究でエストロゲンと
黄体ホルモン(プロゲステロン)を併用することにより、子宮体癌の発生を抑えられることが判りました。
これが現在行われているHRTです。
 その他、不眠やイライラといった症状をとるために精神安定剤を投与したり、
合併症のためにHRTが出来なかったり、ホルモン剤を飲みたくない人には漢方薬による治療を
行っています。
抑鬱症状が強いときは専門医へカウンセリングをお願いすることもあります。
HRTをどれくらいの期間続けるかについては、治療目的によって異なります。
更年期の不定愁訴でお悩みの方は是非、当クリニックに御相談して下さい。

4ホルモン補充療法の副作用

  HRTにおいて、時に規則的な出血、乳房のはり、おりものの増加が見られることがあります。
このような症状に対してはホルモン剤の量や飲み方を変えて様子を見ます。
エストロゲンの使用で乳癌の発生率がHRTをしていない人に比べて
やや増加するという報告もありますが、はっきりとした結論は出ていません。
子宮癌、乳癌に関してはHRTを受けている人も、受けていない人も早期発見のため
定期検診を受けることが大切だと思われます。
また、ホルモン剤は肝機能や血液凝固系に影響を与えることがあるので定期的な血液検査も必要です。

5最後に

  これから、我が国も高齢化社会へ入っていきます。
現在、我が国の女性の平均寿命は85.99歳です。平均閉経年齢が50~52歳と考えますと、
閉経後30年間を更年期障害と戦うより、いかに楽しく更年期時代を過ごすかと考えなくてはいけません。
当クリニックではこのような患者さんの手助けになれたらと常に考えています。
更年期症状でお悩みの方は、お気軽に御相談下さい。